試乗会の心得

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友人を試乗会へ引率することが多く、事前に繰り返し説明することが増えたので参照目的での投稿です。
試乗会のスタイルも様々ですが、skibumが引率する場合は、以下を同意してもらえるスキーヤーだけを連れて行きます。

試乗とは、自分との相性を探る機会
板・モデルの良し悪しを判断するものではありません。
試乗を重ねることにより、自分自身の好み・志向がはっきりしてきます。自分探しの機会でもあります。
そのため、幅広く試すことが愉しみを拡げてくれます。
レース経験はなくても競技モデルを試す、スキー場の整地しか滑らなくても非圧雪用ファットスキーを試すなど。
足りない技術要素や引き出しを板が教えてくれることがあります。見た目が気に入ったコスメチョイスも幅を拡げて愉しいです。意外と外しません、自分を信じて試してみましょう。
逆に技術課題や志向が明確にハッキリとしているならば、メーカーやブランドの幅を拡げて試すことがお勧めです。さらに板の長さやプレートの種類を拡げて試しましょう。思わぬ気付きを得られることがあります。

自分のブーツのソール長を事前に確認して覚えておいて下さい
カカト部分にXXXmmと刻印されています。
当日、繰り返しソール長を伝えて、ビンディングを調整してもらいますので、覚えておく必要があります。
加えて希望の開放値も覚えておきましょう。

板を丁寧に扱うこと
高価なものを試させてもらっている貴重な機会だと認識して、キズを付けないように心掛ける姿勢が非常に重要です。試乗滑走時も無理をせず、板が重なったり転倒したりしてキズが付かないように滑りましょう。
さらにビンディングを外すときに、ストックの先でヒールレバーを押ことは御法度です。自分の板では普通に行う所作ですが、試乗板にキズが付いてしまいます。手間ですが、ストックのグリップ側でレバーを押す、もしくは手でレバーを押しましょう。
参加者の中には自分の板では絶対にやらない、板でレバーを踏んでソール面に取り返しの付かないキズを付けてしまうバカモノも居ます。
メーカーやショップの担当者は良く見ていますので、客扱いされなくなり、必要な情報ももらえなくなります。限られた時間の中だからこそ、担当者の信頼を損なわないことが非常に大切になります。
逆に板を丁寧に扱い、熱心に試乗してくれる参加者には、担当者は実に手厚いです。お客だと認めてもらえると、ビンディングを外すときに担当者が「踏みますよ」と声を掛けてくれて外してくれることもあります。腰をかがめて手でレバーを押す手間を省いてくれますので、「ありがとうございます」の一言とともに板の感想を一言伝えましょう。

メーカーやショップの担当者を長く引き止めておくことはやめましょう。
担当者に加えて、他の参加者にも迷惑になります。
試乗モデル選びは自分で行うことが基本です、担当者への相談は手短に。
今履いている板の長所もしくは短所、そして自分自身の課題や要望は明らかにしておきましょう。
板を手荒に扱い、試乗したモデルの文句を延々と述べて、自分が今乗っている板の長所や短所も認識していないまま、お勧めを出せと横柄な態度の参加者。どの会場にも必ず居るんですね。こういう参加者にはならないで下さい。しばらく文句を演説ぶっているのを聞いて待っていますが、「すみません、調整をお願いします」と横槍を入れると、担当者がホッとした顔をします。
気に入ったモデルが見つかったときに、そのモデルの詳細情報を担当者から教えてもらうぐらいのスタンスがいいと思います。“気に入ったモデル”だと実感しているので具体的に担当者に良さが伝えられます。その裏付け情報をもらうと深く納得できると思います。
逆に興味のないモデルの説明は受けなくてもいいと思います。

試乗はリフト一本が基本、二本滑ったら返却
試乗の経験的実績は、2割相性のいいモデル、1割相性の悪いモデル、7割ぽわんっとつかみどころのない感触で可もなく不可もないモデル。
滑走本数を増やしても、可もなく不可もないモデルが、相性のいいモデルへ変わることはありません。どんどん乗り換えたほうが、相性のいいモデルと出会える確率が上がります。試乗の一本目は、常に同じコース、同じターン弧がおススメです。
相性のいいモデルに出会えたときに、もう一本、二本目でコースやリズム、ターン弧を変えて滑走してみましょう。
そして一旦返却。これで30分程度になります。もっと試したい時は、借り直すか、別の試乗会にしましょう。
相性のいいモデルに出会うと、リフト乗り場に行くまでに分かります。技術レベルは関係ありません。

余談:時間制限を設けている試乗会は多くありますが、守らない参加者も多く、メーカーやショップ・他の参加者の機会損失を与えています。
「ある程度乗らないと分からない」と、言い訳をしますが、嘘です。他人の迷惑を顧みない確信犯でした。登録携帯を呼び出してもらい対峙したことが数回ありますが、こんなことをする確信犯の全員は、性質の悪い上級者でした。メーカーやショップが強く言えないことも分かっているほど性質の悪い上級者です。なので、迷惑をこうむったら初中級者でも同じ参加費を支払っている対等な立場なのですから怯まずに
「分からないなんて、ヘタクソなんですね、あなた」
と言ってあげましょう。
呼び出されて「うるせぇな…」とバツの悪い上級者に“ヘタクソ”が、なによりも一番効きます。
そしてそれ以上、関わることを避けましょう。

試乗台数はそんなに稼げません
午前2時間、午後2時間の一日4時間として、
試乗会初めてのスキーヤーは、一日で6台~8台ほどです。1台40分ほどのペース。試乗時間ではなくて、試乗モデルを決める時間が長いことが要因です。
慣れてきたスキーヤーで、一日10台ほど、1台25分ほどのペース。好みが分かり始めてムダが減ります。
リフトが止まらない、貸出・返却の手続きが簡素、ソール長調整の係り員がスムース、試乗板と参加者の比率が適切など、好条件が整った時で、過去最高一日16台でした。1台15分のペース。

先述した確率から言うと、相性のいいモデルとの出会いは、一日で1・2台だということ。
日本で購入できるモデルは、600モデル以上あります。毎シーズン50モデル以上試乗を重ねているが、全く追いつけない現状。
諦める必要もないけど、期待しすぎてもダメ。そんな前提を踏まえて、試乗に臨むといいと思います。