センター幅115mm、サイズ185cm。
メーカーは“4D”と言っている複雑な3D形状モデル。
3D形状のラインナップの中では一番細いセンター115mm。
圧雪コースの適用は、
横ずれ移動<ターンになる<【ターンができる】<気持ちいいターン
太さの割りには優秀な圧雪適用性。
非圧雪・パウダーの滑走の印象は、速い板。
フレックスやトーションの硬さで速い訳ではないところが面白い。
トップはしなやか、センターはシッカリ、テールは柔らかく、フレックスが異なる。
トップはソールが膨らんでいるスプーン形状、センターはキャンバー、そしてテールはソールがへこんでいる。
深雪の抵抗を浮力方向ではなく、受け流す形状になっているので、推進性がよく速い。
一般的なファットスキーとは、雪の中での板の姿勢が異なっていると思う。
一般的には、トップをロッカー形状にしたり、テールを沈めて、浮力が発生しやすいようにトップが上を向く角度の姿勢で滑走する。常にトップが雪面から出ている状態で滑る。
フルロッカーの板だと、前に詰まろうが、後傾になろうが、常に浮力方向へ力が働く。その分、滑走性は劣り、停まることがある。
V7は、トップのスプーン形状で角付けした状態でも浮力が働くのでテールを沈めなくていい。テールのへこみで浮力が発生。板の姿勢が斜度に平行となり、トップが雪面から出ていない状態で滑ることが結構ある。一見、フルキャンバー板で深雪を滑っているような状況なんだが、沈んで止まることはない。
さらにテールの柔らかさとへこみで、テールを沈めることも浮かせることも自在。
深雪の中の方向づけもテールで操作できる独特な操作性を持っている。
なので、長いサイズなんだけど、ツリーランができる。
踏み固められたところはエッジグリップで、方向付けと減速ができる。
要は、自在性が高い。
軽快な乗り味なので、突破力はソコソコなんだけど、トラックが入った荒れた雪面はいなす感じで速い。
どうも今まで持っていた雪面の“上”にスキー板がある概念の他に考慮されている要素があるようです。
雪の“中”での制御や雪の受け流し、板の姿勢など、今まで感じたことがなかった次元が織り込み済みで形になっている。
Dimension : 寸法、次元の意だけではなく、要素や観点も含まれる。
板自体の形状は3Dだけど、設計思想や意図が加わり、4Dというネーミングに納得し始めている。
エッジのメンテナンスは難しい。バリを取るぐらいしか、いじれない。
ワックスはもっと難しい。アイロンは当たらない。
dpsファントムにハヤシワックスのリキッドで対応している。
板をまとめて運ぶ時に座りが悪く、ばらつく。
立てかけても安定感がない。
特殊な形状に由来する取り扱いの悪さはある、手間も掛かる。
そもそも価格が高い。
でも、納得。ここまで調整を重ねて熟成させてくれたと思う。
工業製品なので再現性のある製造工程になっていると思うが、一点モノのようにも感じている。
今まで試乗したファットスキーでは味わったことがないし、フィールドアースの他モデルにも無い感触なんだと分かった。
スペックでは表現できない官能的な滑走感。
V7は、芸術的。解釈の幅が広くて、そこが面白い。